• 材料とプロセスのシナジー効果で高精度熱処理法 を確立- ヒズマン®

    峰岸氏

    現在、自動車部材用の冷間プレス金型では、車體軽量化に寄與するハイテン材(高張力鋼板)※1加工への対応が不可欠になっている。また、金型のコストダウン?短納期化ニーズが高まり、金型調整工數低減を図るため、より低変寸?低変形を達成する熱処理技術が求められている。

    こうしたニーズを背景に、2005年、使いやすさと高壽命を両立した日立金屬の新冷間ダイス鋼「SLD-MAGIC(以下、S-MAGIC)」の開発に併せて、熱処理時の低変寸?低変形を実現する新たな熱処理法の確立に取り組むことになった。このプロジェクトを牽引した峰岸公大は、開発経緯を語る。

    「SKD11クラスは一般的に幅方向に比べて圧延方向の伸びが大きい特性を持っています。この違いから生まれる熱処理変寸のばらつきが“熱処理屋泣かせ”の難題でしたが、日立金屬の材料開発チームが鋼材の成分組成を検討することで、変形時の異方性を飛躍的に低減したS-MAGICを開発しました。私の使命は、この新鋼種に最適な熱処理方法を確立し、低変寸?低変形を達成することにありました」

    真空爐を使った冷間金型の熱処理は、加熱から冷卻まで一つの爐の中で完結する。最初に行う、熱処理後の変形を予測した金型のセット位置?方法が、最終的な品質の運命を決めると言っても過言ではない。峰岸は、多様な金型形狀に対して均等に冷卻できる配置を個別に精査するため、撮影した設置狀況と冷卻結果(変形狀況)を繰り返し検証してデータ化し、冷卻ガスの流れや圧力を最適化?標準化した。こうして冷間金型用高精度熱処理技術「ヒズマン®」として結実することになった?,F在、群馬熱処理工場では、要求品質や製品形狀に合わせて冷卻機構が異なる3基の真空爐を使い分け、低変寸?低変形の製品提供を実踐し、さらにお客様の要望に合わせてプラス変寸やマイナス変寸狙いなどの対応も行っている。東北、近畿、および九州熱処理工場にも展開した。

    3基の真空爐

     「周囲の気溫変化でも変寸狀況が変わるほど、鋼は“生き物”です。自然環境も含めてさまざまな條件を複合化して個別材料を最適冷卻するには、職人としての勘も重要であり、その挑戦は奧深く無限です。最終的にモノづくりを左右するのは迅速?的確な判斷に基づく現場力です。24時間以內の納期対応もあり厳しい狀況ですが、今後も、人材育成?技能伝承を視野に入れ、“熱処理屋一筋30年”の誇りを持って、迅速に最適な製品をお客様に提供していきます」(峰岸)。

    ※1 ハイテン材(高張力鋼板):ハイテンとはHigh Tensile Strength Steel Sheetsの略で、引っ張り強さが高い鋼板のこと。 主に自動車の軽量化を目的に、薄くしても普通鋼板と同じ強度を得ることが可能な高張力鋼板の適用が拡大しています。 しかし成形性が下がってしまうので、成形特性を考慮した加工技術の適用が不可欠です。

    嗨娃餐饮管理有限公司