• 設備の先鋭化とともに、超大型金型の品質向上 を実現- メガニス?

    高橋氏

    近年、ダイカスト金型はより一層大型化し、材料の肉厚が厚くなることで熱処理時の冷卻速度が低下する傾向にあった。従來のプロセスではソフト冷卻時の脫炭※2の発生や、ベイナイト※1溫度域での冷卻速度の不足が懸念された。特に、ダイカストはヒートサイクルの溫度幅が広く、使用時の溫度変化による金型の割れが生じやすいため、靭性低下に直結する冷卻速度の減衰をいかに阻止するかが技術開発の新たなテーマとなった。

    2006年10月、そうした課題を抱えながら「関東熱処理工場」が竣工。超大型製品に対応する大型爐の新設が課題解決の舞臺となった。當時、関東熱処理工場長だった高橋透は語る?!袱蓼?、2~3トンもある大きな鋼材の熱処理を行うためにどのような爐にするか、特に大型になるほど起こりやすい脫炭の悪影響をいかに低減するかに主眼をおいて設備仕様を検討しました。限られた人員と、市場への迅速な対応が求められる厳しい環境下で、新工場の生産高度化?効率化を目指しながら、データ解析と検証?改善を繰り返して新型爐の早急な立ち上げに取り組みました」

    “超大型”という高い技術的ハードルに加えて、同じ形狀の製品が一つとしてなく、共通するテストピースを作れない“一品一様”の対応が求められる中で、高橋は、NIS?NESの開発で蓄積された冷卻速度や変寸のデータを基盤に、均一冷卻に不可欠な真空度を高めながら最適制御を目指した。その結果、爐の中で高溫域を高加圧窒素ガス冷卻することで、NISと同じ冷卻速度を維持して脫炭を抑制し、低溫のベイナイト域を大型油槽で急冷する新たな熱処理法「メガニス?」を生み出した。

    メガニス?が誕生した真空爐

    「メガニス?は、NIS?NESで培った要素技術の絶妙な組み合わせによって定量化?実機化されましたが、その原動力は現場操業者一人ひとりの愚直なまでの熱意と努力です。私自身、熱処理を繰り返す過程で、靭性値や変寸値などが自分の思い描いた"仮説"通りの結果になったときの喜びは大きかったですね?,F在は各工場の支援を行う立場にありますが、今後、設備技術とその操業方法の高度化を推進するための更新に、積極的に取り組んでいきたいと思います」(高橋氏)。

    ※1 ベイナイト溫度域:ベイナイト変態が発生する溫度域で、材質により変態発生溫度は変化します。この溫度域の冷卻速度が遅いと上部ベイナイト組織が発生して、工具の靭性が低下します。
     
    ※2 脫炭:熱処理時、金型を取巻く空気中の酸素と、金型表面の炭素が結合することにより、金型表面の炭素量が減少する現象です。脫炭しますと、熱処理時の膨張量が少なくなり、マルテンサイト変態點も上がるため、焼入れ時の表面引張り応力が増大し、焼割れ?熱処理変形を起こしたり、引張応力が殘留したりします。脫炭部は低強度と引張応力殘留により疲労強さが低下するため、クラックが発生し易くなります。また、低強度のため早期摩耗も発生し易くなります。 脫炭対策は真空熱処理爐の使用が最も効果的です。

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